4月、新学期が始まり、自転車で通学される子供さんをお持ちの方も多くいらっしゃると思います。
自転車の利用については、申請書と共に、学校から損害保険証書(コピー)の提出を求められます。損害保険?自転車保険なんて入ってないよ〜!事故は心配だしすぐ加入しなきゃ~!と、慌てて自転車保険をあれこれ検索している方、学校から渡された保険のパンフレットを見て慌てて申込みをしようと思っている方。ちょっと待ってください!そもそも自転車保険とはどういうもので、なぜ必要なのか良く確認してみましょう。
自転車通学は損害保険が必須?
小学生や中学生の子供たちの移動手段というと自転車!小学生になると、放課後にお友達の家や公園へ出かけるなど、行動の範囲がグンと広がり、それにともなって交通事故の危険度も増してきます。中学生や高校生にもなると、学校や塾、最寄りの駅までの移動手段として自転車が欠かせません。
自転車通学について、各学校によって様々な規定が設けられていると思いますが、一般的には学校に申請書を出した後、通学用自転車やレインコート等のチェックを受け、ステッカーの交付を受け、ようやく自転車通学が許可されるという流れですが、申請書には自転車保険(損害保険)証書の写しを添付して提出する必要があると思います。地域によっては自転車に乗る人は必ず損害保険に入らなければならないという義務化の動きも広がっています。 では、自転車事故をカバーできる保険にはどのようなものがあるのでしょう。
追記【※福岡県では、自転車条例の改正に伴い、自転車保険への加入義務化が令和2年10月1日に施行されました。】
自転車保険とは?
自転車保険とは、どのような保険かというと、補償される内容は以下の2種類です。
1: 自分自身のケガによる通院、入院などの補償 (傷害保険)
2: 相手にケガを負わせた場合の損害賠償 (個人賠償責任保険)
「自分のケガに対する補償」と、他人にケガを負わせてしまった場合の、「第三者に支払われる損害賠償の補償」です。保険会社や保険の内容など、補償額や補償範囲はそれぞれ異なりますが、基本的に、自転車に乗っているときに起こりうる、ケガと賠償という2種類の補償をセットにして、自転車保険とよんでいます。
保護者に9500万円賠償命令
小学5年の男子児童の自転車にはねられて寝たきりの状態になったとして、被害者女性の家族と保険会社が、男児の母親に対し、約1億500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁は、母親に計約9500万円を支払うよう命じた。
判決によると、児童は2008年9月、神戸市北区の坂を自転車に乗って時速20~30キロで下った際、散歩途中の女性に衝突。女性は頭の骨を折るなどして意識が戻らない状態になった。加害者が未成年者であったため、その保護者に賠償責任があるとし、当時は大きな話題となり、身近な乗り物による加害事故としては、その損害額の大きさに衝撃が走りました。
上記のような判決を受け、各自治体では、自転車保険の義務化の流れが加速しており、各保険会社も、自転車による事故等に備えた保険を設定し販売しています。
自転車保険は本当に必要?
要確認!加入済の自動車保険や火災保険でカバーできるかも
「自転車保険(損害保険)の加入が必須です」といわれ、証書の写しを求められた場合、確認したいのは傷害保険と個人賠償保険に加入しているかどうか?です。特に、学校側が重要視するのは個人賠償保険と考えます。
そこで、ご家庭で加入しておられる、自動車保険や火災保険、都道府県・コープ共済保険等がありましたら、その保険証書を一度確認してみてください。いづれかの証書の特約欄に【個人賠償責任補償特約】はありませんか?
自動車保険
自動車をお持ちのご家庭で、日頃運転をされる方なら、ほとんどの方が任意保険に加入されていると思いますので、一度契約内容をよく確認してみて下さい。その中に【個人賠償責任特約】という項目はありませんか?私はチューリッヒの自動車保険に加入していますが、『くらしの損害賠償責任特約』もしくは『個人賠償責任特約』というものがそれにあたります。未加入でもネットや電話等で特約として付帯できます。
火災保険
マイホームをお持ちの方は、お住まいに対して、火災や風災・水災・雪災などに備えて火災保険にご加入済のことと思いますが、この火災保険に特約として個人賠償責任保険を付帯することが可能です。
また、賃貸にお住まいの方の場合、お部屋を借りる際に火災保険に加入されたと思います。賃貸向けの火災保険には、水漏れ事故などに備えて、あらかじめ個人賠償責任保険が付帯されているはずです。(※ただし、市営住宅の様に、入居時に火災保険への加入を求められない場合もあります。)
もちろん、未加入だったとしても、契約中の保険に「特約」として付帯する事が出来ますので、新たに自転車保険に加入するよりも割安な料金で備える事が出来ます。
うちの場合は、息子が小学3年生の時に名古屋へ引っ越しした際、その地域で事故が多いとの 事でとりあえずお守りのつもりで、クレジットカードに付帯できる月500円の自転車保険に加入しました。数年後何気なく見ていたテレビ番組の特集で重複加入に気づき、慌てて解約手続きをしました。
加入済の保険に個人賠償責任補償がついてない場合
上記を踏まえると、損害保険については、加入している保険の再確認や特約を付帯することで、自転車保険とほぼ同等の補償が準備できます。学校へはこれらの保険証書の写しを提出すれば問題ありません。ただし、自動車保険については毎年更新が必要な為、証書の写しを毎年度提出しなくてはいけません。
上記保険にいづれも加入していない場合は、子供が自転車に乗れるようになった時点で、自転車保険に加入した方が良いでしょう。学校、コンビニ、クレジットカード会社、携帯会社、自転車屋さん、損害保険会社でも販売されていますので手軽に申込が出来ます。
「自動車保険や火災保険などの特約として個人賠償責任保険が付いていれば、自転車事故による賠償事故が補償されます。同じ補償内容の保険に重複して加入しないようにするため、まずは、現在加入している保険の内容をチェックすることが最初のステップです。
現在の保険内容の確認や、新たに加入する保険を選ぶ際にチェックしたいのは、保険の対象者(被保険者)。一般的には同居の親族や離れて暮らしている子どもまで被保険者になっていますが、ご自身の家族に当てはめて誰が対象となっているかを確認しましょう。また補償金額の限度額や、示談代行サービスの有無も大切な確認ポイントです」
自転車は運転免許が不要で、誰でも乗れるという気軽さの一方で、誰もが加害者になってしまう可能性があるものだ。日常的に自転車を利用しているなら、自分が自転車事故の補償がされる保険に加入しているのかを確認しよう。車に乗る人なら「自動車保険」、自宅に保険をかけているなら「火災保険」(最近では「住まいの保険」ともいう)など、このなかで「個人賠償責任補償特約」が付いているのか、特に子どもなど家族まで対象となっているかは必ずチェックしよう。加入していなければ特約を付けたり、自転車保険への加入がオススメだ。
保険料は?
保険会社や商品の内容(補償内容)などによって違ってきます。第三者への補償のみの自転車保険なら年間2000円程度、月2,000円~4,000円程度で、ご家族全員の補償が可能です。
子供のケガの補償はどうする?
自分で転倒して負傷した場合
まずは、今お住まいの自治体が何歳まで子供の通院費や入院費を補助しているか把握して下さい。現在、子供たちは中学校を卒業するまで自治体の助成を受けて治療が受けられると思います。「乳幼児医療費助成」や「子どもの医療費助成」などの公的な補償です。それだけでは不安だと感じる方は、都道府県・コープ共済、学資保険等でもケガの補償に備えておられるご家庭もあるかと思います。
学校の管理のもとで自らケガをした場合は?
通学中や行事中におけるケガ等に備えて、各地域の教育委員会などが、日本スポーツ振興センターと災害共済給付契約をしていますので、加入している健康保険と、こちらの日本スポーツ振興センターの共済金で補償されます。
先日、高校生の甥っ子が自転車で友人達と学校から帰宅中転倒し、頭部打撲と左手指先の骨折というケガを負いました。歩道から車道へ転倒したものの、幸い大事故にならずに済みました。学校から帰宅中のケガということで、上記の共済金を受けられるようです。
公的制度だけでも、ずいぶん手厚い補償が準備されているといえます。
ご家族の万が一に備えて、日々安心してすごせるように、保険についても定期的によく確認しておいてくださいね。